サイナスリフトとは
骨増成手術「サイナスリフト」とは
インプラント治療に伴い、骨造成手術が行われることがあります。文字通り顎骨を増やす手術のことを指しており、その中の１種である「サイナスリフト」について、どのような手術なのか、治療のメリット・デメリットと併せて、詳しく解説します。
サイナスリフトとは？
インプラント治療では、顎の骨にチタン製の人工歯根を埋入する手術を行いますが、上顎の奥歯に施術する場合には、臼歯部の上に上顎洞という空洞があるため、人工歯根を埋入するための骨幅・骨量が足りていないことがあります。サイナスリフト術は、そのようなケースにおいて骨を増やして必要分の厚みを作るために、人工骨や他部位から採取した自家骨を移植する方法のことを指します。
サイナスリフトを行うことで、そのままでは顎骨が薄く人工歯根の埋入が不可能だった症例でも、インプラント治療が可能となります。
サイナスリフトが適応する条件
サイナスリフトは、上顎洞底の骨の厚みが５mm以下、または多数の歯が欠損しているような、骨の不足が大きいケースに適応される手術法です。事前に歯科用CTなどを用いた十分な検査が必要となります。
上顎洞は副鼻腔なので、上顎洞疾患がある場合やアレルギー性鼻炎がある場合は、耳鼻科での治療を優先していただく場合があります。病状の程度や種類によっては、サイナスリフトをお断りする歯科医院もあります。
サイナスリフトのメリット
サイナスリフトは、顎骨が薄くインプラントが不可能だった症例でも、治療が可能になる骨増成手術です。顎の骨量不足を理由にインプラントを諦めていた人でも、サイナスリフトを行うことでインプラント治療を実現できるようになります。
メリット１骨量が足りなくてもインプラント治療が受けられる
サイナスリフトの目的であり、最大のメリットです。もともと顎の骨が薄い方、重度の歯周病で歯を失ったために顎骨が足りなくなってしまった方、奥歯を失ったまま放置、または合わない入れ歯を長期間使用したことで顎の骨が薄くなってしまった方など、様々なケースに対応できるようになっています。
メリット２広範囲に骨を作る事ができる
サイナスリフトは、顎骨が５mm以下、もしくは広範囲に渡って骨を造成しなければならないケースで有効な治療法です。そのため、ほとんどの骨造成術よりも広範囲に骨を造成出来ます。
メリット３目視しながら施術できる
歯槽骨の横から骨補填材や自家骨を入れるため、他の骨造成術よりも目視しやすく、実際に目で見て確認しながら施術できるので比較的安全だといえます。
メリット４予知性が高い
世界的に認知され、施術されている治療法であるため、予知性が高いというメリットがあります。予知性とは、どれくらい治療が長持ちするのかということですので、予知性が高い治療は患者様にとってメリットになります。
サイナスリフトのデメリット
サイナスリフトはインプラント治療ができないと言われた症例でも、人工歯根の埋入手術を可能にする治療法ですが、いくつかデメリットもあります。インプラント埋入手術だけを行う方よりもサイナスリフトを行う分、外科的処置が増えますので、そのぶん身体的・金銭的な負担が大きくなります。
デメリット１治療期間・費用が増える
移植した骨が元々の顎骨と一体化するのに、通常半年〜１年程度の期間が必要です。骨が十分に形成されてからインプラント体を埋入する手術を行うため、人工歯を入れて物が咬めるようになるまで長くかかります。
また、インプラント費用に加えてサイナスリフトの治療費がかかるため、費用の総額が高額になります。サイナスリフトの費用は歯科医院によって異なりますが、15万円から20万円が相場となっています。
デメリット３腫れ・痛みが出やすい
治療目的であっても、手術は身体を傷付けていることに他なりません。特にサイナスリフトは骨造成を広範囲で行う治療であるため、術後に腫れや痛みが出やすくなります。処方された痛み止めを飲めば痛みは緩和されますが、数日は痛みが辛いと感じることがあります。痛みが強くならないよう、術後は注意して安静に過ごすようにしましょう。
デメリット４手術の難易度が高い
サイナスリフトは難易度の高い手術であるため、治療実績の少ない歯科医院も多く、全ての歯科医院でできる手術ではありません。手術には、上顎洞粘膜の損傷や出血、細菌感染による移植骨の除去や再治療、副鼻腔炎や上顎洞炎などの問題を引き起こすリスクがあります。万一のリスクについても歯科医師と確認し、上手くいかなかった場合の対処法についても相談しておきましょう。
